梅雨の時期なので致し方ない面もありますが、これだけ雨が続くと心もブルーになってきます。
ブルーが濃くなっていって、いつしかアカ(それも、いやったらしいアカ)に変わる・・・なんてことにはなってほしくないものです。
「・・・(略)・・・ほら、いやったらしいアカに心が染まるときってあるじゃない」「それはブルーになるみたいなことなのかな?」「それとは違う」と彼女はゆっくりとした声で言った。「ブルーっていうのはね、太っちゃったときとか、雨がいつまでも降り止まないみたいなときにやってくるものよ。哀しい気持ちになる、ただそれだけ。でもいやったらしいアカっていうのは、もっとぜんぜんたちが悪いの。怖くってしかたなくて、だらだら汗をかいちゃうんだけど、でも何を怖がっているのか、自分でもわからない。何かしら悪いことが起ころうとしているってだけはわかるんだけど、それがどんなことなのかはわからない。あなた、そういう思いをしたことある?」「何度もあるよ。そういうのをアングスト(不安感)と呼ぶ人もいる」「わかったわ。アングストね。なんでもいいけど、そういうときあなたはどんなことをするの?」トルーマン・カポーティ(著)/村上春樹(訳)『ティファニーで朝食を』(新潮文庫、2008年), pp. 64-65.
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