2022年6月21日火曜日

いやったらしいアカ

今日も雨が降りました。かれこれ3日連続くらいで雨です。

梅雨の時期なので致し方ない面もありますが、これだけ雨が続くと心もブルーになってきます。
ブルーが濃くなっていって、いつしかアカ(それも、いやったらしいアカ)に変わる・・・なんてことにはなってほしくないものです。

「・・・(略)・・・ほら、いやったらしいアカに心が染まるときってあるじゃない」
「それはブルーになるみたいなことなのかな?」
「それとは違う」と彼女はゆっくりとした声で言った。「ブルーっていうのはね、太っちゃったときとか、雨がいつまでも降り止まないみたいなときにやってくるものよ。哀しい気持ちになる、ただそれだけ。でもいやったらしいアカっていうのは、もっとぜんぜんたちが悪いの。怖くってしかたなくて、だらだら汗をかいちゃうんだけど、でも何を怖がっているのか、自分でもわからない。何かしら悪いことが起ころうとしているってだけはわかるんだけど、それがどんなことなのかはわからない。あなた、そういう思いをしたことある?」
「何度もあるよ。そういうのをアングスト(不安感)と呼ぶ人もいる」
「わかったわ。アングストね。なんでもいいけど、そういうときあなたはどんなことをするの?」

トルーマン・カポーティ(著)/村上春樹(訳)『ティファニーで朝食を』(新潮文庫、2008年), pp. 64-65.

0 件のコメント:

コメントを投稿

「無精の学」と「徒労の学」

「もうずいぶんむかしのことになりますが、大正13年の秋、私が東北大学に赴任した当時ヘリゲルというドイツ人の哲学者がいたのです。・・・(略)・・・広瀬川を渡って向山の草の多い坂道を登っていたときに、急にそのヘリゲル先生が私に対して、お前は経済学をやっているそうだが、経済学というのは...